2016年4月9日土曜日

東大院生が考えたスマートフォンFX

東大院生が考えたスマートフォンFX
田畑 昇人
扶桑社
売り上げランキング: 23,750
■どういう本?
 FXトレーダーとして有名な田畑昇人さんが書かれた本です。基本は時間帯や需給を意識した手法について記載されていますが、それに加えてトレーダーとして生きていくためには何をしなければいけないかという点について書かれています。

 読んだ印象としては、著者的に結構思いを込めて書かれた感じで、よくある「私はこれで~稼いだ」系の本とは違ってなかなかためになります。FXやらないよって人もいるとは思いますが、考え方やアプローチの仕方としては至極まっとうな内容が記載されているので、読んで損をすることはないかと思われます


■どういう内容?
 著者がどうやって勝てるようになっていったかから始まりますが、基本は時間帯と需給を意識して、ランダム性が小さい動きを取りに行く手法について書かれています。単に動いた方向に乗るのではなく、なぜその時間帯はこういう動きが多くなるのかという分析をベースにすることで、イン・アウトの基準を明確にしています。
 また、ポジや注文が溜まっているかを見ることで、単なる節目や抵抗線だけでトレードするよりも動きのランダム性を排除しています。この辺の考え方は対人ゲームっぽいですね。

 加えて、トレードで勝ち続けるためには何をしないといけないのかという点にも触れられており、間違いを認めることの重要性や低勝率の悪影響のあたりは、FXをやらない人でも共感できるかと思います。

 

■Summary
 相場を動かしているのは人間、だから参加者の心理状態とその変化が分かれば勝てる。そのための判断材料が時間帯と需給。順張り・逆張りは時間帯によって機能しやすさが変化する。また、時間帯の節目にはポジションを解消しようとする需要が発生する。
 他にも、ポジションの溜まり具合や逆注文動向によって、反発するのかそれとも抜けた後に大きく動くのかを考えてトレードする。

 トレーダーに必要なのは自分の誤りを認める素直さ。FXで勝てない人は損切りが遅く利確が早い。どうやって上手く負けるかが問題になる。また、正しいやり方でトレードしていても、リスク管理ができていなければ一発で退場させられる。
  


■まとめ
 投資関係の本で、明確に対人を意識した内容の本はあまりないので、その点に触れているのは珍しいです。考え方の枠を広げるにはいい本かと思います。

 なんでこの本を紹介したのかと言うと、今の株市場もこういった時間帯を意識したトレードがかなり重要になってきているからです。年金と日銀という、市場に対して大きな影響力を持つ組織がいる現状、無茶な値動きがかなりの頻度で散見されるようになってきました。
 個人的には、日中の前場・後場とイブは既に全くの別市場という見方をしていますが、それに加えて価格帯での変な影響力を含めると、その辺をケアできないとかなりしんどいのではないかと思います。というか、外人は割りと合理的に売買するんですが、年金と日銀が機械的に突っ込んでくるせいでかなり面倒くさい...。

2016年4月3日日曜日

初心者のストラテジー構築2

 それではこつこつ行きましょう。こつこつと。


■ストラテジーの目的(おさらい)
 個別株のガンマロングポジを作りたい。ダウンサイドリスク限定で。


■今回の目的
 いきなり上記のストラテジーをこさえる前に、一度事前の確認を行います。何ができたら成功で、何ができなかったら失敗なのかを確認しないと、目標地点に辿り着いてもそこがそうなのか、それとも違う山に登ってしまったのかが分かりませんからね☆(ゝω・)v

 というわけで、今回はガンマロングの成功事例、特にわかりやすい事例として過去大幅上昇した銘柄のL、その他のSやった場合にはどうなっていたのかを検証します。つまり、LSのリターンがLについていっている+横or下落時にヘッジになっているのかを見てみます。今回用意した材料は、新興・小型の大幅上昇した銘柄と、皆大好き日経ダブルインバ系ETFとなります。なお、データは2014/12/01-2016/03/31を引っ張ってきました。なお、雑な人間が作ったためデータに間違い等が含まれることは確実なので、間違いがありましたらご連絡よろしくお願いします。
 

■データ
3385薬王堂、4565 そーせいグループ、7148 FPG:1360日経ベア2倍


 あれ?(;・∀・)

 ヘッジ付きなので、裸ロングにアンダーパフォームするのは仕方ありませんが、それにしても追従出来てなさ過ぎませんか?上昇した銘柄だけあって、大きく伸びた時にはリターンも伸びていますが、下げ幅がむしろ大きくなっているような...。個人投資家の救世主そーせいですら、一時-50%近いボコられ具合です。


エスクリ2196、ひらまつ2764、3179シュッピン:1360日経ベア2倍




 (  Д ) ゚ ゚

 いやぁ、なかなか酷いことになっております。ヘッジとは何だったのか。やらない方が被害の小さい保険とか、保険屋が紹介してきたら張り倒したくなりますね。エスクリは決算の影響もありますが、それ以前の期間においても基本ダメっぽいです。
 今回はわかりやすい様に動いた銘柄を選択しましたが、基本リターン分布が横もしくはきれいな右肩上がりになってないので言い訳できません...。



■どうしてこうなった
 裸Lの方がドローダウンが小さいという絶望的な結果が出てしまいました。日経よりもアウトパフォームするはずの銘柄をロングし、日経平均をショートすることでリスクを抑えるはずが、なぜこんなことになってしまったのでしょう?

 今回のような結果となった理由は単純で、何も考えずに「とりあえず日経ショートで( ゚д゚)ノ」ということをやってしまったのが原因です。本来ヘッジというものは、相関やボラの分布等を確認し、L側の動きと同程度逆方向に動くことを前提としたものです。しかし、今回のように個別と日経平均の連動性を考えずに同量のポジを取った場合、それはヘッジではなく単なるロングとショートを積んだだけになります。
 一応、個別が横の時に日経が下がると多少はヘッジになるかもしれませんが、それは意図した動きではなく、単に結果的にそうなっただけと考えるべきでしょう。

 最終目的であるデルタヘッジしてガンマロングを実現するためには、ガンマロング対象が狙った方向に大きく動く時だけリターンが右肩上がりになり、それ以外の時のリターンは横ばいである必要があります。言い換えると、ガンマロング対象が動いていないのにリターンが出るということは、それはデルタヘッジに失敗しているということになります。
 そして、それを実現するためには、ガンマロング対象が動く前のPFボラティリティが0であることを目指すことになります。従って、PFの構成銘柄の推定ボラティリティや相関を重ねあわせた時、それがネットで0になっていることが必要条件となります。失敗すると上記のようなリターン分布になりますので、こうなったらアカンということを頭に入れておきましょう。



■おまけ 
1356TOPIXベア2倍:1360日経ベア2倍(別名4倍ショート)


2016年4月2日土曜日

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)
松尾 豊
KADOKAWA/中経出版
売り上げランキング: 337




■どういう本?
 昨今騒がれている、機械学習・人工知能の基本的な部分をまとめてた本です。著者が研究者ということもあり、夢見がちな内容の本とは違い、基本的な部分をきちんと抑えた内容となっております。初心者向けには最適の本かと思われます。


■どういう内容?
 人工知能の開発の歴史や、どういった技術で成り立っているのかを説明してます。特徴量や機械学習って何ぞ?という点も説明してくれているので、基本的な知識をカバーしたい方にはお勧め。他には、皆大好きDeep Learningの説明や、なんで今までの人工知能(もどき)が上手くいかなかったのか、そもそも何が課題なのかを一から追いかけてます。特に、何でDeep Learnigが凄いと言われているのかについては、結構ページを割いております。

 人工知能の技術的な説明に加え、今後どういった分野で利用されるのか、逆に世間が言っている程バラ色の未来が来るわけでもないということについて触れており、研究者の方らしいニュートラルな立場となっております。


■Summary
 人工知能の基盤となるのは特徴量と機械学習。特徴量とはAというものはこういうものであるというのを示す単位で、機械学習とは特徴量に基づいてもの同士を分ける境界線をどうやって引くのかを試行錯誤する技術。
 今までの人工知能が上手くいかなかったのは、知識というものの定義が難しく、できるケースであっても規模が大きくなると処理できなかったから。
 Deep Learningが凄いのは、今まで経験的にしか定義できなかった特徴量を機械的に抽出できる点。ただし、あくまでも特徴量を抽出するだけで、それ自体が何を示すのかについては、Deep Learingでは定義できないことには注意が必要。
 
 人工知能の基礎となる技術は、学術的な研究成果が公開されており、独自の工夫による差を生み出すのはかなり難しい。
 人工知能は産業の形を変えると言われているが、実際には付加価値の高い特定の産業に転用されることはあっても、置き換えのコストが高い産業や不確定な状況下での判断が伴う業務は置き換えるのが難しいだろう。


■まとめ
 まさしく初心者向けという内容で、基本的な部分を抑えたいという方にはこれ以上ない書籍です。もうちょっと突っ込んでいくと、RecognitionとIdentificationとClusteringの違いが云々とか、高次の特徴量出してもカーブフィッティングが云々とか、分けられるけど判断は別だよねとか言い出すことになるんですが、誰も幸せにならないので触れないで正解かと思います。
 この本を読むと「Deep Learning始めました」とか「人工知能始めました」というプレスリリース出す会社の評価が一気に変わりますので、テーマじゃなくてファンダで投資対象を絞りたい方は必読。