2016年6月16日木曜日

Long Short 3

■暴落から学ぶLSの難しさ
 前回の記事の後、まさかの日経・マザ共に再度暴落するというお笑い展開が来てくれましたので、これを教材にしてLSの難しいところを確認してみましょう。

 面倒くさいので具体的なデータは並べませんが、色々と銘柄を眺めて見れば下落率が結構違うのが分かるかと思います。-10%超えの暴落を見せている銘柄達がいる一方で、せいぜい数%程度しか落ちていない銘柄も結構有ります。このボラの違いが、いわゆるLSの利益の源泉となるわけです。今回で言えば、大型Lの新興Sやってれば笑いが止まらない状態になるわけですが、逆のことやっていれば死ぬほど喰らう状態になるわけです。また、ここ数ヶ月は新興が無限に上げ続ける一方で大型はレンジとなっており、その間に大型Lの新興Sをやっていれば含み損だけが拡大していっているはずです。

 こういうことを考えていくと、LSをやったからといってリスクが減っているとかマーケットニュートラルだとかいうのは幻想でしかないことが分かります。結局のところ、LSがいつ機能するのかという部分も突き詰めていく必要があります。ペアトレとかだと多少ましですが、だからといって利益が出るかというとそうでもなく、暴落の後などは同じことやってたファンドのぶん投げ祭りが開催されて股裂きを喰らうことが多々有ります。利益出ないね(´・ω・`)



■βを取るのもαやで
 「指数がどっちに動くか分からないからLSしてる」という話は聞きますが、よくよく考えてみれば「指数の動きはわからないのに個別株の動きは何で分かるの?」という疑問が湧いてきます。指数は個別株の集合体なわけですから、個別株の上下が分かるというなら、その延長上でなぜ指数の動きが分からないのでしょうか?

 ここの考え方は割りと重要で、LSやるのはβ(市場リスク)を排除して銘柄選択によるα(運用者の能力によるリターン)を取りに行くというのが教科書的な説明ですが、その時のポジはLSポジのスプレッドに対するβ(連動リスク)が拡大されています。なのでここでやっていることは、LSポジのスプレッドのβを取りにいっていることと同じですね。

 オプションで言えば、デルタは取れないけどベガは取れると言っているのと同じことで、基準となる軸を変えたとしても、その軸に沿ってどう動くかというのを予想すること自体は変わりません。誤解を恐れない言い方をするのであれば、指数や個別株単独の動きを予想することと、LS組んでスプレッドの拡大・縮小を予想することは本質的には同じことです。

 こういうことを考えると一概にLSやっていればいいという訳でもなく、場合によっては裸Lやってるほうがリスクが小さいという状況があることも分かります。アベノミクス初期の頃は、LSやっているところは儲かるどころかかなり厳しい状態に追い込まれるケースが多く、材料一発でSポジが吹っ飛んで死亡というのがよく見られました。
 
 LSに限った話ではありませんが、「何故今その戦略を実行するのか?本当にその戦略が機能する状況なのか?」ということがまず最初にあるべきで、この部分があるからこそ「投資はアート」と言われる訳です。βをコントロールできないものとして切り捨てるか、それともそれを取ってαとするか。その判断も含めてこそのαではないでしょうか( ・ㅂ・)و ̑̑

2016年6月14日火曜日

Long Short 2

■前回の補足
 前回のような記事を書いた直後、まさかのマザ-10%という笑い話が誕生し「やっぱショート大事やねん(;・∀・)」という空気が漂う中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 前回はLSの種類をいくつか並べてみましたが、それぞれどんなことをやっているのかまでは触れませんでした。そこでよく言われるのが下記の2つになりますので補足してみました。
 LSやる場合は、大抵下記の2つの要素のどちらかを含みます。これに加えて、セクター内でLS組んだり、個別企業の評価に基づいてLS組んだりするのが一般的かと思います。

 ・エクスポージャー調整型
  -ロングポジとショートポジのネットエクスポージャーを調整する
  -「良い株は上がって、クソ株は下がるやろ?」論に基づくことが多い
  -利益は0.5倍、損失は2倍になって死ぬことがよくある
 ・ペアトレード型
  -相関のあるAとBの剥離が縮小するのを狙うのが基本
  -「似たような銘柄なら、どっちかだけが上がるとかないやろ?」論に基づくことが多い
  -そのまま剥離が拡大し続けて死ぬことがよくある


 なおよくある誤解としては、アービトラージはAsk/Bidのスプレッドを抜くタイプとかでない限りは、大抵ペアトレードの派生で擬似アービトラージになることがほとんどです。M&Aアーブとか優先株・普通株アーブとかありますが、ファイザー・アラガンの合併やVWで何が起きたかを見れば、本来の意味でのアービトラージというのはそうお目にかかれないのが分かって頂けるかと思います。フリーランチなんてないんや(´;ω;`)ブワッ


■何のためにこんなことするの?
 では何でこんな面倒くさいことをするのか考えてみましょう。そもそも株価の方向が分かればこんなことをする必要もなく、素直に全力2階建てすればいいだけです。従って、わざわざこんな面倒なことをするということは、こういうことをしないと困るorこうしないと取れない利益があるという話になります。LSをやる理由としては、概ね下記の3つになるかと思います。

 ・全力でポジりたい
  -ロング150%+ショート50%とかなら、レバましましでもそう簡単に死なんやろ論
  -銘柄選択に自信ニキ以外がやると、損失が拡大してすぐ死ぬ
 ・LSやらないととれない
  -銘柄間の剥離を取りたい場合は、単独のロングorショートでは取れないからこうする
  -ペアトレード型やファクターベット型がこれ
  -剥離が期待通りに動くと思った?残念だったね☆(ゝω・)vキャピ
 ・指数がどっちに動くか分からないから
  -あぁ^~指数の動きとか分からんから市場リスクを省くんじゃぁ^~
  -いわゆるマーケットニュートラル(笑)がこれ
  -指数がどっちいっても損失になることが多いが、ボラが小さいので長生きできる


 要はリスク回避型とリスク選好型、その中間みたいな感じでざっくり捉えて頂ければいいかと思います。LSやってるからといって、一概にリスク減ってるわけじゃないよってことだけは注意が必要ですね。

2016年6月12日日曜日

Long Short 1

■Long Short
 日経様の不安定な動きが続き、新興もアレとかソレとかを筆頭に急落したことを受けてか、「ヘッジ無しとかないわw」「ショートポジも持たないといつか死ぬでw」という風潮がまた強くなってきた昨今いかがお過ごしでしょうか。
 
 こうなってくるとLong Shorの重要性を押し出してくる人が増えてくるわけですが、色々眺めてみれば言っていることやっていることが人によって違うのが分かると思います。とはいえ、誰かがファッションLSで誰かが真実を話しているというわけではなく、実際の所はそれぞれが別のLSをやっているという話だったりします。 
 言ってる人からすれば、わざわざ詳細を説明する義理もないのでその辺を省略するのでしょうが、前提となる知識がないと色々と勘違いする可能性が高いのが困りものです。

 なので、LSってどんな種類あるの?ってことを再確認してみましょう。
 
 なおガンマロングのアレは、諸般の事情により非公開の方向となりましたので、そこのところ何卒よろしくお願い致します。期ズレってことで(*‘ω‘ *)


■そもそもLSって何よ
 こういう話をするにあたってまず大事なのは、そもそもLong Shortってなんでしょうかということですね。雑な言い方をしてしまえば、「ロングポジとショートポジを一緒に持ってれば何でもLong Short」です(・з・)

 あくまでも戦略の包括的な呼び名がLong Shortというだけで、実際にはその下に色々と派閥があるわけです。キリスト教西方教会プロテスタント-ペンテコステ派みたいな感じ。ファンダだって、グロースやバリューで分かれ、その下にどの指標をどの評価モデルで見るかで派閥が分かれますよね?
 なので一口にLSと言っても、包括的な戦略の意味で言っているのか、それとも個別の戦略の意味で言っているのかで違います。でも説明が面倒くさいので皆「LSです」の一言で済ませるわけです。そりゃ話が通じないわけだ('A`)


■LSの種類
 とりあえず、LSってどんな種類があるのよということで適当に並べてみました。

 ・エクスポージャー調整型
 ・ボラティリティ調整型
 ・ペアトレード型
 ・ファクターベット型
 ・セクターベット型
 ・ボトムアップ型
 ・アービトラージ型

 単独で成り立つのはほとんどなく、実際はメインとなる型+サブって感じで、幾つかの種類を組み合わせて運用する形となります。困ったことに被っている部分も多く、「これはどっち?」と言われても答えに窮することがよくあります。高度な柔軟性を保ちつつ臨機応変に判断しましょう( ・ㅂ・)و ̑̑

 個人投資家がよくやっているものは、ボトムアップ型+エクスポージャー調整型ですかね。企業調査から良い株ロング-クソ株ショートで入って、エクスポージャー調整してバランスとるってやつです。

 詳しい話はまた次回。